車検時にブレーキに関する整備や交換の判断を求められるケースがありますが、ブレーキ検査の基準はどのようなものになっているのでしょうか。
ここでは、車検時のブレーキ検査の基準についてまとめていますが、ブレーキの分解整備や清掃についても判断を求められるケースが多いので、こちらの記事も参照していただけると車検時のブレーキ整備について理解が深まると思います。
車検でのブレーキ検査の基準は?
車検でのブレーキ検査では、4輪の制動力の合計値と後輪の制動力の合計値、駐車ブレーキの制動力が検査されます。
また、ブレーキの制動力の左右の差やブレーキの引きずりについてもチェックされます。
具体的な判定基準値は、4輪の制動力の和が検査時車両重量の50%以上、後輪の制動力の和が同重量の10%以上、駐車ブレーキの制動力が同重量の20%以上となっています。
また、左右ブレーキの制動力の差が同重量の8%以下となっています。
数値で見ると難しく感じるかもしれませんが、普段の運転でブレーキに支障がないようであれば、制動力の合計値に関しては問題ないといった数値になっています。
ただ、左右ブレーキの制動力の差に関しては基準を満たせない場合が意外と多く、いわゆるブレーキの片効きの状態になっている場合は検査に合格することができません。
また、ブレーキの引きずり状態についても同じく修理が必要となります。
車検でブレーキフルードの交換は必要?
車検を通すという点だけで言えば、ブレーキフルードの交換は必須ではありません。
ブレーキフルードとは、ブレーキペダルを踏んだときの踏力を各タイヤにあるブレーキに伝えるためのものです。ブレーキオイルやブレーキ液とも呼ばれます。
通常は透明に近い色や薄い黄色をした液体なのですが、ブレーキパッドから発生する摩擦熱の影響や経年劣化などで徐々に汚れて色が黒っぽくなってきます。
ただ、見た目が汚れていてもブレーキのリザーブタンクに適量が入っていれば車検には通ります。
しかし、ブレーキフルードが劣化すると沸点が下がって気泡ができやすくなるため、ブレーキの踏力伝達に影響が出てしまいます。つまり、ブレーキが利きにくくなるわけです。
ですので、車検ごとに必ず交換というほどの頻度ではないですが、汚れて色が変化してきたら交換するほうが良いでしょう。
交換費用は、お店にもよりますがブレーキフルード+工賃で5,000~10,000円ほどとなっています。
また、リザーブタンクの量が減るのはブレーキパッドが減っているサインでもあるので、量が少ない場合はブレーキパッドの点検・交換も合わせておこなうことをおすすめします。
車検でブレーキランプの交換は必要?
こちらも、車検を通すという点だけで言えば点灯していれば交換は必須ではありません。
少し前までの車種ではいわゆる白熱電球タイプのランプを使用しているので、お店によっては後からのランプ切れを予防するために車検時に交換をすすめる場合もあります。
ブレーキランプはひとつ数百円と安く、その割には走行時には必ず使用する重要な部品だからです。車種にもよりますが一般的には工賃も一か所数百円程度でおさまります。
ただ、最近の車種ではブレーキランプはもちろん、ヘッドライトやウインカーなどもLED化されてきていますので、車検でブレーキなどの電球を交換すること自体が大きく減少するはずです。
ただし、LEDでも点灯しなくなる場合がありますので、その場合は当然車検には通らないですから修理交換が必要となります。
ブレーキのディスクローターの交換目安は?
ディスクブレーキでは、ブレーキパッドがタイヤと一緒に回転するディスクローターを挟むことで速度を制動します。
ブレーキを使うほどブレーキパッドが減りますが、当然ディスクローター側も接触面が徐々に減っていきます。実際にディスクローターを見ると、ブレーキパッドの接触面がレコード盤のように磨かれている様子がわかると思います。
ただ、一般的にはブレーキパッドのほうがディスクローターよりも柔らかい物質でできているため、ディスクローター側の減りはわずかと言えます。
ですので、通常の乗り方であれば10万キロは持つと言われていますが、ブレーキを多用したり強いブレーキを踏むことが多い場合は交換時期が早くなります。
また、ブレーキパッドとの接触面が不均等に減るなどして歪みが出て、ブレーキの時に異音や振動が出ることがあります。その場合もディスクローターの交換が必要となります。
ディスクローターの交換費用は車種によって差があり、部品代+工賃で1輪あたり数千円から数万円となっています。
もちろんディスクローターだけでなくブレーキパッドなど他の部品の不具合も考えられますので、まずは整備工場で症状を伝えて点検してもらうことをおすすめします。